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Panasonicシェーバーはラムダッシュシリーズが主力として売り出されていますが、さらに低価格なメンズシェーバーシリーズも販売しています。
ラムダッシュシリーズとの分かりやすい見分け方としては、「商品名にラムダッシュという名称が無い」、「型番がES-RLまたはES-RTの後に二桁の数字」という2点。(参考:ラムダッシュ3枚刃の型番はES-STから始まる)
低価格帯モデルであるメンズシェーバーとラムダッシュシェーバーにはどんな違いがあるのか、ES-RL13とES-ST29というモデル型番を例に見てみましょう。
Panasonicの「ラムダッシュシェーバー」と「メンズシェーバー」の違い(比較型番:ES-RL13とES-ST29)
モデル名 | 3枚刃シェーバー ES-RL13 | ラムダッシュ3枚刃 ES-ST29 |
---|---|---|
刃の種類 | 往復式・3枚刃 | 往復式・3枚刃 |
ヒゲセンサー | - | ○ |
背面トリマー | - | ○ |
泡メイキングモード | - | ○ |
お風呂剃り | ○ | ○ |
洗浄方式 | - | ウォータースルー洗浄 |
電源方式 | 充電式 | 充電式 |
電池の種類 | ニッケル水素(Ni-MH) | リチウムイオン(Li-ion) |
充電時間 | 約8時間 | 約1時間 |
使用可能時間(3分/日) | 約7日 | 約14日 |
本体の製造国 | 中国 | 日本 |
低価格帯モデルであるメンズシェーバーはラムダッシュに比べると多くの機能が省かれており、また内蔵電池にコストの安いニッケル水素を採用、さらに中国製造であるなど顕著なコストダウンがみられます。
ラムダッシュシリーズの心臓とも言えるリニアモーターは当然のことながら搭載されておらず、モータースピードが遅いが故にワンストロークでのカット性能は段違いに劣っています。
ラジコン用に作成されたモーター回転数の計測アプリ(GooglePlay)にて簡易的に計ってみましたが、数字を見てもその差は歴然です。
「ES-RL13」と「ES-ST29」のモーター回転数の違い
Android端末のマイクにて、刃を外した状態で駆動させたシェーバーからモーター音を集音。その周波数を解析しRPM(1分間の回転数)を計測しています。3枚刃シェーバーES-RL13が7920rpmに対し、ラムダッシュ3枚刃ES-ST29はおよそ1.7倍の13800rpm。
モーターの回転速度は内刃の往復速度に直結するため、シェービングスピードも応じて速くなります。ラムダッシュに慣れたユーザーであれば、低価格帯モデルのメンズシェーバーではイライラしてしまうレベルです。
ただ、髭の量がそこまで多くなく、スピードもそこまで重視しない人にとっては十分メインとして戦えるシェーバーです。
後述しますが、このES-RL13をはじめとするメンズシェーバー3枚刃シリーズにもラムダッシュと同等の鍛造刃が採用されており、切れ味は非常に優秀です。
また、良心的な価格設定のため、お風呂剃り用や緊急用、職場用などに2台目として導入しやすいモデルでもあります。
Panasonicメンズシェーバー3枚刃シリーズの性能比較表はこちら
Panasonic ES-RL13の外観・性能を簡易的にレビュー
今回はそんなPanasonicのメンズシェーバーシリーズから最も価格の安いモデル、「ES-RL13」を実際に用意してみました。
私がAmazonにて購入した時点(2017/01)では2,480円。価格の変動はありますが、コンパクト1枚刃シェーバーを除けばPanasonicの現行ラインナップで最も安い電気シェーバーです。カラーリングはレッド・ブラックの2色展開。
Panasonic メンズシェーバー「ES-RL13」の内容物
・シェーバー本体
・アダプター
・掃除用ブラシ
・保護キャップ
・取扱説明書
必要最低限の付属品は揃っているかと思いきや、メンテナンス用オイルは付属していませんでした。刃の寿命を伸ばす意味でもオイル挿しは欠かせないため、別途購入する必要があります。
Panasonic製だとボトルタイプのものや、スプレータイプのものなどが800円程度で販売されています。
■シェーバーオイルって必要なの?
外刃と内刃は互いに高速で駆動しているため摩擦熱が生じます。刃の潤滑性が低下していると摩擦熱も発生しやすく刃の摩耗につながります。オイルは摩擦熱の除去、摩擦を低減する役割があるため、お手入れ後のオイル差しが重要になってきます。
刃が摩擦熱を持ったまま使用し続けると剃り心地が悪いだけでなく、内部バッテリーにも負担がかかり寿命が短くなる要因になりやすいです。
安っぽさは感じるものの持ちやすいスリムなデザイン
ES-RL13本体の外装はプラスティック製であり、上位モデルに比べると安っぽさを感じてしまいます。ですが、しっかりとIPX7基準(水深1メートルに30分間水に浸けても有害な影響を生じる量の水の浸入がない)検査をクリアしており、お風呂剃りが可能な防水性能を備えています。
背面にはすべり止め用のギザギザがあり、マイクを握るよう持った時にちょうど人差し指が引っかかる配置です。モミアゲや長く伸びたヒゲを処理するキワ剃り刃は搭載されていません。
形状が比較的スリムなため、お風呂剃りラムダッシュ3枚刃のようにペングリップ持ち(親指と人差し指)も辛うじて可能でした。ただ、グリップ感があまり良くなく安定性に欠けるため、お風呂場などでジェルを使用する際などはしっかりとマイク握りをするのが無難でしょう。
【ラムダッシュ3枚刃シリーズ】の形状
ラムダッシュ3枚刃シリーズはペングリップ持ちを前提としたデザインであり、非常に安定した持ちやすさ。また、ヘッドに開閉窓があり水を流し込むことでヒゲクズを簡易的に洗い流すことが出来る。
充電はコードが省略されたプラグインスタンド式
充電はプラグインスタンド式であり、写真のようにアダプタにシェーバー本体を差込むタイプです。アダプタに重量があるためシェーバーを差し込んだまま自立し、スタンド代わりにもなります。
アダプタの形状がかなり大きいため、洗面所備え付けのコンセントだとドライヤーなど周囲のコンセントと干渉してしまう可能性が高いです。画像におおよその寸法を表記しましたのでご参考ください。
もし備え付けのコンセント等に入らない場合、少々不格好ですが延長コードを使用すると置き場所の選択肢も広がります。その際、アダプタは必ず水などが掛からない場所に起きましょう。
アダプタは130gとシェーバー1本分程度の重さがあります。旅行や出張で持ち運びする方も多い電気シェーバーですが、ES-RL13の場合フル充電で21分間しか駆動できません。ですので長期外出の際はアダプタも必然と持っていく必要があります。
プラグインスタンド式はケーブルが嵩張らないメリットがある一方で、この重量はちょっとした荷物になってしまいます。
内蔵バッテリーにはニッケル水素を採用
ラムダッシュシリーズには自己放電(使用していないときに電池が減ること)やメモリー効果がほとんどないリチウムイオン電池が採用されているのに対し、ES-RL13等のメンズシェーバーシリーズの多くはニッケル水素電池が採用。
ニッケル水素電池はコストが安い反面、自己放電によるバッテリー容量低下や、継ぎ足し充電により本来の充電容量が低下してしまう「メモリー効果」などの欠点を持ちます。
リチウムイオン電池は自己放電やメモリー効果はほぼ無視できるレベル。その分コストが高く、低価格帯の電気シェーバーではあまりみられません。メンズシェーバーシリーズでも一部モデル(ES-RT46やES-RT36)にはリチウムイオン電池が採用されていますが、価格帯も5000~7000円程度と、ラムダッシュシリーズに近い価格設定になっており割高感が否めません。
リチウムイオン電池 ニッケル水素電池 重量 軽い 重い メモリー効果 ほとんどない ある 自己放電 ほとんどない ある コスト 高い 安い
ラムダッシュ3枚刃シリーズと同じ刃を搭載したが故の悲劇?
冒頭にも述べた通り、ES-RL13はコンパクトシェーバーを除いたPanasonicの現行ラインナップ(2017/01)で最も安い電気シェーバー。生産工場を中国に回しコストの安いパーツを使用している一方で、実は搭載刃には一切妥協がみられません。
なんと、この価格帯でありながらラムダッシュシリーズ採用の刃と同じ「鍛造刃(たんぞうば)」を採用しています。
日本刀と同じ製法で鍛え抜いた鋭い刃は切れ味もさることながら、これらは製造が日本の彦根工場(YouTube)で行われていることでも知られています。低価格帯シェーバーの刃だけは中国で製造しているなどという話は今のところ聞いたことがないため、ほぼ間違いなく日本製の刃が搭載されていると考えて良いでしょう。
刃だけを抜き取るユーザーが多いという事実
ラムダッシュシリーズと同じ規格の刃を採用してしまったが故、ES-RL13はひとつの悲しい運命を辿っています。
ここ数年に発売されたラムダッシュ3枚刃の替刃はES9013(内刃+外刃)という型番。販売価格は店舗にもよりますが約4000~5000円程度。一方のES-RL13(2500円程度)の搭載刃はES9013と同等品。
つまり、替刃だけを買うよりもES-RL13というシェーバーを買ってしまったほうが安く替刃が手に入るという価格矛盾が起きてしまっています。それに気づいたラムダッシュユーザーのレビュー投稿などをきっかけにクチコミが広がり、実際に多くのユーザーが「刃だけを抜き取りシェーバー本体は捨てる」という選択をしている事実があります。
ニーズに合わせて多種多様なラインナップを展開するが故、このような価格矛盾のモデルが誕生してしまったのか、私個人では分かりかねるところではありますが、電気シェーバーを愛好する身としては「捨てられる為に製造されるシェーバー」という存在はとても悲しいものがあります。
Panasonicにはなるべく早急に価格設定を見直す等、この問題に対する解決策を見出して欲しいところであります。ES-RL13というシェーバーに罪は1つもないのですから。
もし替刃目的で購入なさったとしても、メインが不調になった際の予備として保管する、まだ古い刃が使用できるのであれば装着しサブとして使用するなど、シェーバーとしての天命を全うさせてあげてほしいというのが、私の切実な願いです。
毎年、各メーカーの最新モデルを複数購入しているシェーバーマニア。「深剃り向き」「敏感肌向き」「携帯向き」のおすすめのシェーバー、さらには「敢えておすすめしないモデル」まで解説します。最近のレビュー記事等はこちら。シェーバー選びの際は是非ご参考ください。