BRAUN・PHILIPS・パナソニックの高級電気シェーバー3モデル(シリーズ9/9000シリーズ/ラムダッシュ5枚刃)を比較レビュー
2016/06/19
▼目次
電気シェーバーのシェア9割以上を占める3大メーカーといえば、ドイツのBRAUN、オランダのPHILIPS、そして日本のパナソニック。髭が濃い、肌が弱いといった悩みのもと高性能なシェーバーを選ぼうとすれば必然的にこの3つのメーカーが候補に挙がる場面が多いかと思います。
電気シェーバーを選ぶ際には、それぞれのメーカーが強みとする性能・特徴を知っておくことが大事。
このページでは、3つのメーカーのフラグシップモデル(最上位機種)を、実際に私が使用してみて感じた特徴やメリット・デメリット(良い部分・悪い部分)を述べています。
髭質や肌によって感じ方は人それぞれかと思いますが、ひとつの参考になれば幸いです。
参考までに、筆者の髭質はくせが多く硬め、肌はカミソリだとすぐ負けてしまう敏感肌です。
BRAUN・PHILIPS・パナソニックそれぞれの最上位モデル電動シェーバーを剃り比べ!!
電気シェーバーはいつも筆者が自腹で購入。どのメーカーの信者というわけでもないため中立な立場から評価し、長所も短所もありのままお伝えしていきます。
使用型番
・BRAUN シリーズ9 9090cc
・PHILIPS 9000シリーズ S9522/26
・Panasonic ラムダッシュ5枚刃 ES-LV9A
※ちなみにPHILIPSのみ厳密には9000seriesの最上位モデル(S9711V/33)ではなく、S9522/26という型番。個人的に最上位型番に付属するアタッチメントは別売りのものを持っていたため、ヒゲトリマーや洗顔ブラシなどのアタッチメントが付属していない型番を購入しています。
の数はあくまで筆者の主観(ドライ剃り時)評価です。髭質や肌によって感じ方は個人差がありますのでご了承ください。BRAUN シリーズ9の個人的評価・レビュー
モデル:9090cc
深剃り | |
肌への優しさ | |
早剃り | |
ヒリツキのなさ | |
充電時間 | 1時間 |
使用可能時間 | 45分 |
BRAUNのシリーズ9は四枚刃往復式シェーバー。中央の2つのトリマー刃が特徴的でクセ髭にとにかく強い。
2つのトリマーのうち青い刃は「極薄リフトアップ刃」という名称で、非常に薄く加工された金属面が「寝たヒゲ」の下に入り込み起こし上げてカットする役割があります。(現行機種は金色に変更されています)
さらに、その横に並んだ「くせヒゲキャッチ刃」と呼ばれるトリマー刃が、様々な向きの髭をカット。これら2つのトリマーがカットした髭を、さらに両端で待ち構えた網刃部分がしっかり根本から剃り上げるため、髭に癖がある場所でもワンストロークでの剃り残しが少ない印象です。
ヘッドを押し付けた際も、外刃がそれぞれ独立して浮き沈みするため肌の曲面に沿ったシェービングが可能。
ただし、ヘッドの首振り性能は前後に20°の可動のみ。Panasonicのラムダッシュ5枚刃シリーズの「前後、左右、上下に可動するヘッド」に比べると肌への追従性は一歩劣ります。また、深剃り性能だけをみてもラムダッシュ5枚刃には若干劣り、その分ヒリツキ感はラムダッシュより少ないと感じました。
ラムダッシュはストローク数が増えれば増えるほど、押し付ければ押し付けるほど肌がヒリツイてきますが、シリーズ9は比較的マイルドな剃り心地。ある程度ゆっくり時間をかけても肌に優しいシェーバーです。
BRAUNシリーズ9はヒゲが濃い、クセヒゲが多い人におすすめ
回転式のPHILIPS 9000シリーズに比べると深剃り性能は天と地の差ほど感じます。9000シリーズで剃りあげた髭をシリーズ9で剃ると「あれ、朝剃ってきたんだけどなぁ」とBRAUNモーニングレポートばりの気分に。
ただ、やはり早剃り性能や深剃りはラムダッシュ5枚よりは一歩劣るため、とことんそちらを追求したい人はラムダッシュをおすすめします。
シリーズ9は比較的肌が弱め、髭が濃い目の人におすすめできるのではないでしょうか。他社の往復式シェーバーで肌がヒリつく、だけれど回転式シェーバーでは物足りない。そんな人にはピッタリかと思います。
特に、クセヒゲに対するカット性能が高いため、髭が寝がちな人にも最適でしょう。
PHILIPS 9000シリーズの個人的評価・レビュー
モデル:S9522/26
深剃り | |
肌への優しさ | |
早剃り | |
ヒリツキのなさ | |
充電時間 | 1時間 |
使用可能時間 | 50分 |
回転式であるPHILIPSの9000シリーズは肌への優しさが優れている一方、深剃り性能は往復式に比べ劣る印象。髭が濃ければ濃いほど、シェービングにかかる時間も比例して長くなります。
筆者は首元や頬まで濃いヒゲがありますが、全体を剃り終えるまで10~15分は掛かってしまいました。
ですが、髭が濃い人には向かないかと言われればそういうわけでもなく、肌が弱いのであればある程度の深剃り具合(多少のザラつき)で妥協してしまうというのも髭剃りのひとつの手法。
例えば、深剃りしようとゴリゴリ押し当てすぎて赤くなった肌と、回転式で肌に負担を掛けずにある程度深剃りできている肌、どちらの見た目が良いかは明白ですよね。
肌をヒリヒリさせながら会社や学校に行く朝ほど憂鬱なものはありません。回転式なら肌が赤くなったりする心配も減りますし、シェービング中の安心感が違います。
ヘッドの密着性においては今回比較した3モデル中、最も優秀。特に喉仏など凹凸の激しい場所でも8方向に可動するヘッドがしっかり剃り上げてくれます。ちなみにくるくる回しながら剃るのが、PHILIPSシェーバーの正しい剃り方。
深剃り性能は往復式に劣ると前述しましたが、しっかり片方の手で「髭出し」をしながらゆっくり時間をかけて剃れば深剃りは可能。初めて回転式を使う人は上手く剃れるまで慣れが必要かと思います。
ちなみに9000シリーズはPHILIPSシェーバーの中では最も深剃り向きとされるモデル。刃には切れ味の鋭い「ダブルVトラック刃」が採用されています。
「>>>>>」と連続したV時形状の外周と、小さな三本の突起で14箇所に区切られた内周部分のホールが特徴的。様々な向きの髭もキャッチしやすく、駆動方式の特性から巻きひげなどもカットしやすい。
内刃には改良されたV字刃が採用。画像だと分かりづらいですが刃の先端がV字に角度が付けてあり、外刃のVスリットと挟みこむようにして髭を剃るため引っかかりによる不快感がありません。
PHILIPS9000シリーズは肌が弱い、敏感肌の人におすすめ
パナソニック・BRAUNの往復式シェーバーに比べれば深剃り性能は劣りますが、肌への優しさは極めて優秀。9000シリーズはフラッグシップモデルでありラインナップの中では最も深剃り向きとされていますが、往復式のような剃り心地を想像して買うと後悔するかと思います。
比較的ひげが薄い、肌が弱いという人には非常に最適。肌への負担は3モデルの中で最も少なく、ヒリツキは感じませんでした。ただし、早剃り性能には欠けます。
ヒゲくずは比較的飛び散りにくく、駆動音も静か。オイル差しが不要なのも魅力ですね。
髭が濃く肌が弱いという人でも、「深剃り」より「肌への優しさ」を重視するのであれば、選択肢として第一候補にしても良いのではないでしょうか。
どうしても回転式でがっつり深剃りしたい場合は、ウェット剃りがおすすめ。肌や髭が柔らかくなるため深剃り・肌への優しさともに向上するため、往復式で剃った時のようなツルツル感が得られながら、肌へのダメージはほぼ0という超有能シェーバーに化けます。が、繰り返すように時間は掛かりますが・・・。
また、ヒゲトリマーや洗顔ブラシといった別付けアタッチメントも販売されており多彩な用途に使えるのも魅力的(後述)。
Panasonic ラムダッシュ5枚刃の個人的評価・レビュー
モデル:ES-LV9A-S
深剃り | |
肌への優しさ | |
早剃り | |
ヒリツキのなさ | |
充電時間 | 1時間 |
使用可能時間 | 42分 |
Panasonicのラムダッシュ5枚刃は国産の往復式シェーバー。旧モデルからの改良点としてスムースローラー(金色の棒)が搭載。肌との摩擦を軽減しています。
スムースローラー自体も上下に浮き沈みするため、ストローク中の違和感は全く無く肌すべりは滑らか。プレシェーブローションなしでもスムーズに剃ることができました。
5枚刃の構成は中央にトリマー刃、その両端にクセヒゲリフト刃、さらにその両端にフィニッシュ刃という5段構え。外刃自体も非常に薄く、根本からカットするため深剃り性能は頭一つ抜けている印象。
外刃・内刃には安来鋼(ヤスキハガネ)を使用した日本製の刃を採用。髭への憎しみでもあるのかと思うほど切れ味抜群で、固い髭もスパスパっと切断していきます。ヒゲの引っかかりはまず感じませんでした。
家庭用電気シェーバーに搭載されるモーターの回転速度としては、世界最速の毎分約14,000ストローク駆動。早剃り性能においても他社を大きく引き離しています。
内刃が互いに逆方向に駆動するカウンターバランス機構を採用しているため、手への振動も少なめ。(音は割と甲高く鳴ります)
ラムダッシュ5枚刃は、髭が濃い・とにかく深剃りに拘りたい人におすすめ
BRAUNのシリーズ9は前後に20°動くだけのヘッドでしたが、ラムダッシュ5枚刃は前後17°、左右20°、上下に2.5mmと可動範囲が広く設計されています。そのため、そこまで手首の角度を工夫せずとも肌に密着させやすかったです。
とにかく深剃りに拘るなら、ラムダッシュ5枚刃が現状一番おすすめできると言えます。個人的にも、剃り終わった後のツルツル感はラムダッシュ5枚刃が一番でした。
さらにリニアモーター搭載で早剃り性能も高い。PHILIPSで15分かかる髭もラムダッシュ5枚刃なら5分で剃り終わります。とにかく朝忙しい日本のサラリーマンをしっかりターゲットとして意識している印象ですね。
ただし、深剃り性能が高い分あまりゴリゴリ押し付けたり往復させすぎると肌がヒリついてきます。ヘッドのフロートをロック状態で肌の中に埋もれたヒゲまで深追いしようと押し付ければ出血することも。肌へのダメージ面では3モデルの中で最も大きかったです。
コツは基本的に「逆剃り」で、ストローク回数を最小限にとどめるよう自分のヒゲの生えている向きを把握しておくこと。これだけで、シェービング時間はさらに短縮し効率的に深剃りができます。
Panasonic ラムダッシュ5枚刃シリーズの性能比較表はこちら
■シェーバー選びの目安
深剃りしたい | 中間 | 肌に優しく剃りたい |
Panasonic ラムダッシュ5枚刃 | BRAUN シリーズ9 | PHILIPS 9000シリーズ |
フラッグシップモデルを比較してみた結果、基本的には上記のように考慮し選ぶのが良いかと思いました。
もちろん人によって肌の質やヒゲの生え方は異なるため、感じ方は異なる場合もありますが、私のように髭が濃い&敏感肌の人であればある程度の目安として参考にして頂けるのではないでしょうか。
チェックしておきたいその他の機能
シェービング性能とは別に、3つのモデルの細かな違いについても簡単に比較してみました。
キワゾリ刃(背面トリマー)の違い
モミアゲや残したいヒゲを整えるのに便利なキワゾリ刃。
シリーズ9、ラムダッシュ5枚刃は背面にキワゾリ刃が搭載されており、上に引き上げる仕組み。一方で、PHILIPS 9000シリーズはスマートクリックと呼ばれる「ヘッドチェンジ型」を採用しています。
キワ剃り刃の他に、ヒゲトリマーや洗顔ブラシなど豊富なアタッチメントが用意されているのも9000シリーズの魅力。
スマートクリック方式について詳しくは以下のページを参照下さい。
バッテリー表示ディスプレイの比較
実際に剃っている時は手元で隠れて見えないため、充電残量の確認がメインになります。にも関わらず、ラムダッシュ5枚刃は「剃るのにかかった時間」まで教えてくれる仕様。発光が一番眩しいですね。
※ちなみに上の画像でBRAUNに表示されている水滴マークは「水洗いが必要です」のサイン。ラムダッシュ5枚刃の心拍メーターのようなものは「ヒゲセンサー」の感知具合。PHILIPS9000シリーズはS9711V/33のみ充電残量が%表示。
シェーバーの騒音値の違い
シェーバーの静かさも気になるポイント。参考までに「40db~50db」が一般的な部屋の数値であり、70dbを超えると煩いと感じるレベルのdb数です。
実際の駆動音も録音してみたため、興味のある方は再生してみてくださいね。
90デシベル ・犬の鳴き声(正面5m)・騒々しい工場の中・カラオケ(店内客席中央)
80デシベル ・地下鉄の車内・電車の車内・ピアノ(正面1m)
70デシベル ・ステレオ(正面1m、夜間)・騒々しい事務所の中・騒々しい街頭
60デシベル ・静かな乗用車・普通の会話
BRAUN シリーズ9の騒音値(db)
PHILIPS 9000シリーズの騒音値(db)
往復式は内刃の動きが激しいため騒音を発しやすいですが、回転式は駆動方向が一定のため数値も抑えめになるのだと思います。
Panasonicラムダッシュ5枚刃の騒音値(db)
以下は少々古いニュース記事からの引用ですが、BRAUNやPanasonicにはシェーバーは不快感のない音になるようチューニングが施されているとのこと。毎日使うものですからモーター音も心地よい音に仕上がっているのですね。
実は高級モデルは、音にもこだわっている。「ちゃんと剃る音がすることが満足度につながるので、『ラムダッシュ』はチューニングして満足度が高い音に調整していている。評判は良いですよ」と言うのは松下電器産業。ブラウンの「プロソニック」も、音波振動のために搭載している高速モーターの音がそのまま聞こえると耳障りなので、耳に心地よい周波数帯になるようにチューニングを加えている。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/special/20080403/1008853/
自動洗浄充電器のサイズ
置くスペースが限られている人はサイズに関しても要考慮。ちなみにサイズが最もコンパクトなのはラムダッシュ5枚刃シリーズでした。
予想より文章が長くなってしまったため、申し訳ありませんが詳しいサイズ感は以下のページでご参照下さい。
「深剃り」と「肌への優しさ」を天秤にかけると自分に合ったシェーバーが見えてくる
さて、ここまで長らくお読み頂き大変ありがとうございます。
電気シェーバーを買う際、私達が製品に求める要素は多くあると思います。それは見た目や価格、便利な付加機能、愛着あるメーカーなど人それぞれ。
その中でも一番重視するポイントはやはり、「しっかり深剃りできること」と「肌に優しいこと」の2つではないでしょうか。
しかし、「深剃り」と「肌への優しさ」は相反する存在。磁石のプラスとマイナスのようなものです。
深剃りを重視すれば肌への負担は大きくなりますし、かといって肌への優しさを求めれば深剃りからは遠ざかっていきます。
BRAUN、PHILIPS、Panasonicの3社ともフラッグシップモデルは「肌への優しさと深剃りの両立」を売りにしています。
正直、カタログだけを見るとどのメーカーも深剃りできて肌に優しいシェーバーに見えてきてしまうことでしょう。そのくらい3社による市場競争は激しくシェアを増やすために必死です。
ですが、実際に3モデルを比較してみるとそこには明確な差がありました。
3大メーカーのフラッグシップモデルから選ぶべき相棒はどれか
例えば、深剃りに強い往復式シェーバーのBRAUN・Panasonicは「音波振動」や「スムースローラー」をはじめ様々な機能やテクノロジーを搭載することで、相反する2つの課題をうまく解消しています。
一方で、肌に優しいPHILIPSの回転式シェーバーは、肌への密着性とV字トラック刃の採用により深剃り性能を高めています。
3メーカーとも「深剃り」と「肌への優しさ」を追求していますが、そのアプローチ方法は全く異なります。自分が肌への優しさをとことん追求するのか、それとも深剃りか、もしくは中間くらいを取るか。自分の肌質やヒゲの濃さ、使用環境を考慮することが重要です。
経済の世界は弱肉強食。電気シェーバーも一度使って「あまり良くない」と判断されると次は手に取ってもらえません。紹介した3つの最上位モデルはどれも優秀なプロダクトであることは間違いありませんが、試し剃りができる売り場も減っており全て試す機会はなかなかありません。
かといって適当に勘で選ぶには少々勇気がいる価格帯です。ちなみに3つ全て買うと9万弱かかりました。(白目)
電気屋さんに行く前や通販サイトでポチる前に、今回のレビュー記事が少しでもあなたのシェーバー選びの参考になればと願います。
もう少し安く手頃なシェーバーはないの?との声がありましたので、別ページにまとめさせていただきました。予算ごとに最適なモデルを見つけていただければ幸いです。
【当ページで検証したモデルはこちら】
BRAUN | PHILIPS | パナソニック |
シリーズ9 9090cc | 9000シリーズ S9521/26 | ラムダッシュ5枚刃 ES-LV9A |
往復式・4枚刃 | 回転式 | 往復式・5枚刃 |
レビュー 感想 | レビュー 感想 | レビュー 感想 |
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毎年、各メーカーの最新モデルを複数購入しているシェーバーマニア。「深剃り向き」「敏感肌向き」「携帯向き」のおすすめのシェーバー、さらには「敢えておすすめしないモデル」まで解説します。最近のレビュー記事等はこちら。シェーバー選びの際は是非ご参考ください。