BRAUN「シリーズ9」とPanasonic「ラムダッシュ5枚刃」を比較|往復式シェーバー
2016/06/12
▼目次
「髭が濃く、肌も弱い」といった男性がスペックの優れた電気シェーバーの購入を検討した際、Panasonicのラムダッシュ5枚刃シリーズ、そしてBRAUNのシリーズ9が候補に挙がることが多いかと思います。
どちらも両メーカーの最上位モデルであり、価格帯も3万円程度と近いことから「一体どちらを買えば幸せになれるんだ!」と悩むかもしれません。
安心してください、どちらも購入した男がここにいますよ!(ちなみに他にもシェーバーは多数所持しています。30台くらい・・?)
少し筆者の好みや主観も入ってしまいますが、2つのモデルの違いや特徴を比較していきたいと思います。
特にどちらのメーカーの信者というわけでもないため中立的な立場から、どちらも使った上での感想も交えて、贔屓目なしで比較しています。ちなみに筆者のヒゲ質は濃く、肌は弱めです。
ラムダッシュ5枚刃とシリーズ9を比較
私が所持しているモデルはラムダッシュ5枚刃 ES-LV9A-S(左)と、シリーズ9 9090cc(右)になります。ラムダッシュが日本製、シリーズ9はドイツ製です。デザイン的にはどちらも洗練されていますがES-LV9A-Sはフルメタル仕上げ、9090ccはメッキ仕上げのようです。
個人的にはデザインはシリーズ9が好み、質感はラムダッシュ5枚刃の金属仕上げが好きです。
刃の構成の違い
ラムダッシュ ES-LV9A-Sがスムースローラー搭載の5枚刃、BRAUNシリーズ9が4枚刃です。
深剃り性能に関してはラムダッシュ5枚刃のほうが一枚上手。刃の枚数が多いこともありワンストロークでのヒゲのカット量も多いです。肌への当たりは旧ラムダッシュだと割とヒリツキやすかったのですが、スムースロラーやヘッドのサスペンションが搭載されたことにより肌への負担がグッと少なくなりました。
★の数はあくまで筆者の主観(ドライ剃り時)での評価です。髭質や肌によって感じ方は個人差がありますのでご了承ください。
ラムダッシュ5枚刃シリーズ
モデル:ES-LV9A-S
深剃り | |
肌への優しさ | |
早剃り |
深剃り性能に関しては最高峰。旧モデルでは肌への負担も多少あったが新5枚刃シリーズは肌に優しくなっている。
スムースローラー(金色の棒)の働きによりストロークの際の摩擦抵抗が少ない。ヘッドの滑りがよく、プレシェーブローションを塗れば摩擦抵抗はほとんど感じないレベル。また、前後左右上下にヘッドが可動するため常に肌に密着させながら剃ることができ、凹凸のある部分にも強いため剃り残しが少ない。
リニアモーターによる早剃り性能は他のどのシェーバーよりも優秀。刃先角度30°の内刃は切れ味もよくヒゲの引っかかりがない。また、内刃・網刃は独立しているため、別々に交換が可能。内刃寿命は2年、外刃は1年での交換が目安。
BRAUNシリーズ9
モデル:9090cc
深剃り | |
肌への優しさ | |
早剃り |
中央の2つのトリマーによってくせヒゲを起こし深剃りする仕組み。トリマーが2枚構えのためくせヒゲには強い。二、三日伸ばした様々な方向を向いたヒゲだろうと、しっかりキャッチしスムーズに剃れる。
深剃り性能に関しても優秀だが、ラムダッシュ5枚刃に比べると一歩劣る。特に、喉仏など凹凸の多い場所はしっかりと肌を伸ばしつつ「髭出し」をする必要がある。肌当たりはラムダッシュに比べると優しい印象。
ヘッドは前後のみの可動のため追従性はラムダッシュに劣るが、しっかり肌にヘッドが90°になるよう動かすことで深剃りは可能。内刃・網刃はカセット式のため、刃の交換時には内刃・網刃とも同時に交換することになる。18ヶ月(1年半)ごとの交換が目安。内刃の刃先角度は不明。
ヘッドの可動領域の違い
ラムダッシュ5枚刃シリーズは前後左右上下にヘッドがグネグネ動かせます。アゴの下や頬など凹凸の多い場所ではヘッドの可動領域が広いほど刃がしっかりと肌に密着するため、深剃りしやすくなります。
シリーズ9は前後のみの可動領域のため、ある程度は手首をつかってヘッドをうまく密着させる必要があります。
ラムダッシュ5枚刃 | シリーズ9 | |
前後 | 17° | 20° |
左右 | 20° | - |
上下 | 2.5mm | - |
ラムダッシュ5枚刃のヘッドは大きいため、若干鼻下などは剃りにくいと感じるかもしれません。サルのように鼻の下をぐぃーっと伸ばすと剃りやすいです。また、アゴヒゲなどを残したい場合はヘッドのコンパクトなシリーズ9のほうが、「ヒゲを残したい部分との境界線」が認識しやすいです。ラムダッシュ5枚刃だと大きなヘッドが邪魔に感じると思います。
背面トリマー(キワ剃り刃)の違い
モミアゲや髭の手入れに便利なトリマー(キワゾリ刃)は、どちらも背面に搭載。ラムダッシュ5枚刃はヘッドのロック機能も兼ねているためカチカチと押し上げるのに対し、シリーズ9はスルッと引き上げられます。ラムダッシュのキワゾリ刃のほうが45°の鋭角刃で剃り味は良いと感じました。(BRAUNの刃先角度は非公表のため不明)
モーターの回転速度
モーターの回転速度は毎朝のシェービングスピードに直結します。Panasonicは回転速度を公表していますが、BRAUNは公表していません。
筆者は測定器やテスターなどを所持していない為、なんとかモーターの回転数を計る方法はないかと調べたところ、回転音から回転数を計測する便利なAndroid用アプリがありました。→「Mini-Z RPM測ってみる?テスト中」
周波数からモーターの回転数を割り出しており精度が非常に高く、ミニ四駆やラジコンなどを趣味にしている人が愛用しているそうです。
さっそくシェーバーのモーター回転数を計測してみました。まずはラムダッシュから。
高速リニアモーター搭載のラムダッシュ5枚刃は公表値通り毎分約14,000回転。アプリの精度もまずまずのようです。ちなみに家庭用シェーバーに採用されるモーターの回転速度としては世界最速。これ以上速いモーターを積んだシェーバーは販売されていません。
シリーズ9は毎分約10,000回転という結果。うーむ、早剃り性能は一歩劣るといった感じ。
シェーバーの騒音値
騒音値も比べてみました。40db~50dbが一般的な部屋の数値で、60db程度が普通の会話レベル。往復式の電気シェーバーは内刃の動きが激しいので音も発生しやすいです。
音の大きさを表す単位としてデシベルが使われています。身近な音の大きさはこんな感じになります
身近な例
100デシベル ・電車が通るときのガードの下
90デシベル ・犬の鳴き声(正面5m)・騒々しい工場の中・カラオケ(店内客席中央)
80デシベル ・地下鉄の車内・電車の車内・ピアノ(正面1m)
70デシベル ・ステレオ(正面1m、夜間)・騒々しい事務所の中・騒々しい街頭
60デシベル ・静かな乗用車・普通の会話
50デシベル ・静かな事務所・クーラー(屋外機、始動時)
40デシベル ・市内の深夜・図書館・静かな住宅の昼
ラムダッシュ5枚刃の駆動音
77.9dbと「電車の車内」レベルの大きさ。下のプレイヤーで実際の音が聞けます。
シリーズ9の駆動音
こちらも70dbを超える大きさ。
騒音値だけでいえば、多少シリーズ9のほうが静かです。ただ、どちらも70dbを超えているため真夜中に家族が寝ている横で使用するのは躊躇われます。
音のエネルギーは「距離」と「壁」によって小さくなるので、もし夜中に電気シェーバーを使う場合は洗面所のドアをしっかり閉める、家族のいない部屋に移動などするのが得策でしょう。
重量
ラムダッシュ5枚刃が215g、シリーズ9が219gとたった4gしか違いはありません。どちらもヘッド重量がバランス良く設計されているので、手首がだるくなることはありません。背面はどちらもラバー加工されているのでグリップ感も良いです。持ち手はラムダッシュのほうがスリムな形状。
自動洗浄器のサイズの違い
ラムダッシュ5枚刃の自動洗浄器はPanasonicが「日本の住環境」を意識して設計しているため、比較的コンパクトな作りになっています。洗面所に置くスペースがあるか心配な方は写真を参考にサイズを確認してみましょう。
奥行きもラムダッシュ5枚刃の自動洗浄器のほうがコンパクト。ちなみに写真には映っていませんがACコードはどちらも裏から出る仕様です。
洗浄液のコストと手間
ラムダッシュの自動洗浄器はカップに水道水と洗浄液を入れる手間があります。洗浄液は一袋で30日間使用可能。Amazonなどの通販サイトの価格をみると洗浄液6個入りで1500円程度です。毎月のコストに換算すると約250円/月くらいでしょうか。
BRAUNシリーズ9の場合、洗浄液はカートリッジ式なので蓋を取ってセットするだけで手軽です。洗浄液はアルコールを含んでいるため除菌力も高め。3週間から1ヶ月程度を目安に交換が必要です。Amazonなどの通販サイトの価格が洗浄液6個入りで2800円程度。毎月のコストに換算すると約460円/月くらい。
手軽に洗浄液が交換できるのはカートリッジ式のBRAUNですが、その分ランニングコストが高め。Panasonicの洗浄液コストはPHILIPS等と比べても安いので良心的です。
ラムダッシュ5枚刃とBRAUNシリーズ9はどちらがおすすめか
髭が濃い・肌が弱い人はラムダッシュ5枚刃がおすすめ
もし、「髭が濃く肌も弱い、けれども深剃りしたい!」という人であればラムダッシュ5枚刃をおすすめします。
深剃り性能に関してはやはりラムダッシュのほうが一歩抜けています。シリーズ9の深剃り性能も優秀ですが、やはり肌への密着性やヘッドの滑りの良さはラムダッシュのほうに軍配が上がります。
また、自動洗浄器のランニングコストの高さも気になるところ。Panasonicの洗浄液も以前は高かったのですが、最近は非常に価格が抑えられています。
早剃りに関してもリニアモーターを積んだラムダッシュシリーズには敵いません。シェービングスピードの速さにおいてはPanasonicの独壇場です。やはり、朝忙しく時間のない日本人のことを良く考えて作られたプロダクトなのだなぁと感じました。
早剃りできる=ストローク回数も減る。その結果として肌へのダメージも最小限で済みます。シリーズ9も肌には優しいですが、あまり深剃りしようとゴリゴリ押し付けたり何度も往復させてしまうと肌荒れしてしまいます。ですので、ヒゲが濃く量も多い場合はラムダッシュ5枚刃のほうが肌へのダメージは少なく済みます。
ただ、くせヒゲのカット性能に関してはシリーズ9のほうが上手。やはりセンタートリマー刃が2枚配列されていることで、あちこちの方向を向いたヒゲもしっかりと捉えてくれます。網刃ではどうしても逃しがちな長いヒゲもキャッチしてくれるので、つい休日に伸ばしがちだという方はシリーズ9のほうが適しているかもしれません。
髭が薄い人はどちらもオーバースペックか
髭が薄い、肌はそこまで弱くないといった方は正直どちらを使ってもあまり違いが実感できないかもしれません。髭の量がそこまで多くないのであればワンストロークでどちらでも一瞬で剃り終えてしまうでしょう。肌への負担がかかる暇もありません。
ただ、そこまでヒゲが濃くないのであればラムダッシュ3枚刃やシリーズ7といったワンランク下の価格を抑えたモデルで十分かと思います。あまり低価格帯過ぎるモデルだと逆にヒゲが引っかかったり肌に負担が掛かりやすかったりするため注意が必要です。
毎年、各メーカーの最新モデルを複数購入しているシェーバーマニア。「深剃り向き」「敏感肌向き」「携帯向き」のおすすめのシェーバー、さらには「敢えておすすめしないモデル」まで解説します。最近のレビュー記事等はこちら。シェーバー選びの際は是非ご参考ください。