日立ロータリーシェーバーRM-LX2Dの使用レビューと他社との比較
2016/07/11
▼目次
以前、BRAUN・PHILIPS・パナソニックの3メーカー最上位シリーズを比較してみましたが、今回は新たに日立から発売されているロータリーシェーバーを購入してみました。
■3メーカーの比較記事はこちらをどうぞ↓
今回購入したモデルは、昨年発売された「ロータリージード RM-LX2D(link先:Amazon)」です。ネットの評判・口コミもまちまちのようですが、1ヶ月ほど実際に使用してみたので気づいた点などをレビューしてみたいと思います。
電気シェーバー市場では深剃りに強いブラウンとパナソニック(往復式シェーバー)、肌に優しいフィリップス(回転式シェーバー)が圧倒的シェアを握っています。この三大メーカーの名前なら一度は耳にしたことが多いはず。
特に国内ではパナソニックのラムダッシュシリーズの売上が好調で、その一方同じ日本のメーカーである日立は若干影の薄い存在かもしれません。
ですが、電気シェーバーメーカーの3大巨頭を差し置き、唯一「ロータリー式」を採用し続けているメーカー、それが日立です。
ロータリー式シェーバーの特徴とは?
ロータリー式の特徴を簡単に説明すると、以下の2つが挙げられます。
・往復式とは異なり、内刃の回転方向が一定のためエネルギーロスが少なく、振動も少ない。
・フィリップスのように肌に垂直方向に回転するのではなく、肌に並行して回転するためヒゲをスーッっと引きながら剃ることができる。
刃がヒゲに対して直線的に当たるため、T字カミソリで剃った時に近い剃り心地が特徴です。ラムダッシュにも「カミソリシェーバー」とよばれるモデルが存在しますが、あちらは横の往復運動でヒゲをカットするため、構造的に最もT字カミソリに近いのはロータリー式といえるかもしれません。
ですが、我々が求めるのはシェーバーの構造うんぬんではなく「深剃りできるか・肌への優しいか」の2つです。どんなにメーカーが「この方式が一番優れてるんだ!」と叫んだところで実際に使ってみて剃り心地が悪ければユーザーは二度と手にしません。
その中でも、唯一ロータリー式を25年以上貫いている日立。新型モデル「RM-LX2D」を髭が濃い&肌が弱い管理人が実際に使用してみて気づいたポイントや感想などを述べていきたいと思います。
日立の新型ロータリーシェーバー「RM-LX2D」
今回購入したモデルはロータリージーソードのRM-LX2D。これはLED光乾燥器が付属するモデルで、カラーはチタニウムグレー。
光乾燥機が付属しない本体だけのRM-LX1というモデルも存在し、そちらのカラーはシルバーとなっています。
100-240V対応で海外でも使用可能。トレンドとなっているウェットシェービングもOK。JIS規格のIPX7基準*にも適合しているためお風呂場での使用もできます。*水深1メートルに30分間浸けても有害な影響を生じる量の水の浸入がないこと
注意点としてウェットシェービング対応モデルとしては珍しく「充電交流式」である点。
充電しながらの使用も可能ですが、お風呂場など水気の多い場所では交流式(プラグを繋いだまま)での使用は厳禁です。感電・ショートの恐れがあるため、水洗いする際も必ずプラグは抜きましょう。
ロータリージーソードRM-LX2Dの付属品
RM-LX2Dの付属品は以下のとおり。
・本体
・LED光乾燥器
・取扱説明書(保証書)
・電源アダプター
・掃除用ブラシ
・シェーバーオイル
・ポーチ
取扱説明書は裏側が保証書になっています。日立は一年間の保証期間があるため購入時のレシート等と一緒に保管しておきましょう。Amazon等の通販サイトで購入した場合も保証を受けることができます。
付属するポーチは厚手でクッション性があります。出張や旅行で持ち運びする際はオイルやブラシと一緒に収納することができます。残念ながら電源アダプターは入らないため、長期間の出張の際などはバッテリーをフル充電しておくか充電アダプターも一緒に持ち運んだほうが安心。
ちなみにフル充電で約63分間の稼働ですので、1日10分使うとすれば6日間程度は持つ計算です。
LED光乾燥器のサイズと充電方法
付属のLED光乾燥器は洗浄機能が省かれている分コンパクト。比較的省スペース仕様のパナソニック洗浄充電器(写真左)と並べてみると洗浄器自体の高さは半分程度。
ただし、奥行きに関しては実はパナソニックのほうが省スペースです(約9.3cm)。ちなみに幅は同じ程度。
LED光乾燥器の実寸法は幅9.3×高さ7.3×奥行き12cm。スペースの少ない洗面所でもそれほど邪魔にならないサイズかと思いますが、大きめのマグカップ一個分程度の場所は占領します。
充電方法は「光乾燥器に立てかけておく」または「本体に充電プラグを挿す」の2通りで充電が可能です。使い勝手としては光乾燥器に差し込むほうが手軽。
使用中にバッテリーが切れてしまった!という場合は充電コードから給電しながら使用することができます(水気の多い場所では厳禁)。
バッテリーは「HIGH・MID・EMP」の三段階表示。全て点灯している時が80%以上バッテリーが残っている状態です。バッテリーが20%以下になるとEMPランプが点滅します。
順剃り・逆剃りができる2通りの持ち方
ロータリージーソードRM-LX2D・RM-LX1は持ち手を2パターンに変えられるのが特徴的。
刃は手前側(スイッチ側)に向かって巻き込むように回転するため、持ち手を替えることで剃り心地が変わってきます。上の写真のように普通に握った状態なら順反り、下の写真のようにT字カミソリのようなペングリップ持ちをすれば逆剃りになります。
順反り・逆反り
順反りはヒゲの生えている方向と同じ向きで剃ること、逆剃りはヒゲの生えている方向に逆らって剃ることです。
順反りで全体を軽く剃った後、逆剃りでしっかり深剃りしていくというイメージ。ヒゲの生えている向きを手で触って把握しておくことがロータリー式を使うときのポイントです。
【筆者のヒゲ・肌質】日立では「順反り→逆剃り」を推奨していますが、いきなり逆剃りから入っても個人的にはヒリついたりはしませんでした。私はT字カミソリだと赤くなってしまうくらい肌は弱いほうなのですが、内刃の切れ味が良くヒゲが引っかかったりしないため逆剃りから入ってもヒリつきはありません。
剃り方に慣れてきて毎回逆剃りからシェービングしていますが、出血するようなトラブルも無いです。ただ、毎日シェービングする習慣がなく、ヒゲを長く伸ばしてしまいがちという方は順反りで一度短くカット→逆剃りでしっかりシェービングしたほうが肌への負担は最低限で済むかと思います。
ヘッドの駆動方向
ヘッドは前方向に少しお辞儀する感じで駆動します。順反りの際はヘッドが手前に動き肌への圧力が分散され、逆剃りの際はヘッドが固定される仕組み。
感覚としては順反りだと肌への負担はほぼなし、ただしある程度は剃り残す。逆剃りでようやく深剃りできるという印象です。ある程度ひげが薄い人であれば順反りだけであっという間に剃り終えてしまうと思います。私のように髭が濃い場合は逆剃りは必須です。
本体の重さは191g。ロータリー式はヘッドが頭でっかちな形状になりやすいのですが、ロータリージーソードは細身の形状で握りやすく手首への負担も感じませんでした。重心バランスは若干ヘッド寄り。
回転してヒゲをカットする「光ドラムレザー刃」
BRAUNは4枚刃、パナソニックは5枚刃と刃の枚数を増やす中、ロータリージーソードは潔い1枚刃です。多枚刃のように刃と刃の隙間や段差がないため肌当たりは滑らか。小回りが利きやすいため鼻下も剃りやすいです。
内刃にはドラムレザー刃が搭載
内刃にはドラム式のレザー刃が採用。実際に回転するのがこの刃です。
形状をよくみると網網がダイヤの形になっているのがわかるかと思います。このダイヤの網目が次々とヒゲを引いて切っていきます。ダイヤの鋭角部分は刃先が27°まで研ぎ澄まされており、これはラムダッシュ*の内刃よりも鋭い角度。*ラムダッシュは30°
材料には日本刀の原材料で知られる安来鋼(ヤスキハガネ)を使用。切れ味・硬度が非常に優れており固いヒゲもスパスパと切断してくれます。
本体ヘッドにはLEDが内蔵。ただ光らせてカッコいい!というわけではなく、LED光が刃に直接照射されるため光触媒された刃が嫌な匂いを抑え清潔に保つという役割があります。
光触媒とは「光を照射することで特定の化学反応の速度を早める物質」のことで日立独自の技術のようです。光化学などという小難しいことは私にはちょっと分からないのですが、光触媒の有効性は官能試験によって30人中27人が「臭わない」と判定したそうです。
臭いの感じ方は個人差もあるかと思いますが、私的にはヘッドからの嫌な匂いはほぼ感じられず非常に快適。光触媒された刃の場合、水の親水性が増し刃から皮脂汚れも落ちやすくなるとのこと。なんとも良いこと尽くしだ、光触媒。
ロータリーシェーバーの命ともいえる内刃が回転する様子。LED照射によってメカメカしさが増しています。ちなみにLED照射は剃っている最中は消えません。剃り終えた後は20分間、匂いを抑えるために照射されますが電源ボタンを押すことで消灯することもできます。
音波振動で抵抗を減らしなめらかにカット
内刃はただ回転するだけでなく左右方向に毎分18,000往復の微振動を繰り返しています。振動する刃のほうがカット時の抵抗が減らせるため各メーカーが音波振動を搭載していますが、日立のロータリーにもこのモデルでついに初搭載。
なぜ振動する刃のほうがなめらかに剃れるの?と思う方もいるかもしれません。たとえば木を切り倒すチェーンソー、医療用の電動メス、超音波スライサーなど刃先を振動させることで切れ味を良くしている製品は様々です。
たとえばホールケーキにまっすぐ普通のナイフを入れてもケーキはつぶれてしまいます。電動式の振動ナイフならイチゴまでしっかりと切断することが出来ますよね。
電気シェーバーもこれらと同じ原理を採用し、刃を振動させることでヒゲが引っかかることなくスパっとカットできるように音波振動が採用されました。
網刃のホール形状
網刃は六角形のホール形状。また、片側にクシ状のスリットがあり、長いヒゲやクセヒゲをホールへ導く役割があります。
内刃の配置上、両端部分に剃れないポイントがあります(穴が開いていない部分)。
キワ剃り刃
長いヒゲやモミアゲ、残したいヒゲを整えたりするのに便利なキワ剃り刃。ワンタッチで上に引き上げるだけで使用できるタイプです。
サッと水洗いできるからお手入れ簡単
本体は水洗いOK。刃を稼働させることで刃に付いたヒゲくずもしっかり洗い流すことができます。皮脂汚れが気になる場合はハンドソープなどを使うと効果的。
軽く水気を切った後はLED光乾燥器にセットしてボタンを押すだけ。外刃・内刃が温風とLED照射により乾燥・除菌・防臭を行ってくれます。
乾燥時間は1時間半、その後15時間LED光を継続照射し清潔な状態を保つ仕様。15時間は少し長いかな、と感じましたが朝剃ってセットし会社・学校へ行く人にとっては特に気にならないかと思います。
ちなみに電気代に関しても、LED光乾燥器の消費電力は8.5w程度。100円/月も掛からないため経済的。
8ワット(W) を15時間 x 30日 使用した時
=約79.2円です。
(1kWh 単価 22円で計算)http://www.denki-keisan.info/
BRAUN、パナソニック、フィリップスの自動洗浄器はそれぞれ専用の洗浄液コストが定期的にかかりますが、日立の場合そもそも洗浄機能が無いため洗浄液の買い置きを心配する必要がありません。
ただし、コストがかからない分は手洗いの必要が出てきます。個人的には手洗いも苦にはならないほうですが、面倒くさがり屋にとっては悩みどころかもしれません。
ヒゲくずは1~2週間もすれば一杯になってしまうので、雑菌による肌トラブルを防ぐためにも定期的にヒゲくずを洗い流す習慣を付けたほうが良いでしょう。
ちなみに暗い場所だとこんな感じに光ります。寝室やベッドサイドに置く場合には眩しいです。LED照射はボタンを押せば消えます。
風を送るファンは背面にあります。吸気口はホコリが溜まりやすそうなので数ヶ月に1回程度は綺麗にしてやると良いと思います。
乾燥中の騒音レベルは約55~60dB程度。駆動しているのはファンとLED照射だけなので割りと静かです。例えるならPCのファンが唸っている程度。
乾燥が終わりLED照射だけになるとほぼ無音です。
ロータリージーソード「RM-LX2D」はどんな人におすすめか
筆者はヒゲが濃く肌が弱いほうですが、ロータリージーソードを使用して肌が赤くなったりヒリつくということは殆どありませんでした。ロータリー方式=肌へ刺激が強い&深剃りというイメージがあったのですが、むしろ往復式より肌に優しく剃ることが出来ました。
初めのうちは使い方に慣れず、つい押し付けたりして赤くなることもありましたが、内刃の回転方向を意識することで徐々に深剃りが上手くなっていきます。
往復式シェーバーと異なり、刃の向きによって剃れ方が異なるためコツを掴むまで1~2週間はかかるかもしれません。ヘッドが直線的な形状なので、凹凸やカーブ部分を往復式シェーバーと同じ感覚でストロークしても全然剃れません。
コツとしては片方の手で肌をグイっと伸ばし、なるべく平坦に撫でてやることです。接地面積を平坦に大きくとることでロータリー刃がしっかりとヒゲをカットします。ここで強く押しすぎてもトルクが弱くなってしまうため力加減が難しいかもしれません。基本的には撫でるだけ&ヒゲの生えている向きを意識してみてください。
深剃り性能に関しては個人的な感覚ですが、パナソニックのラムダッシュ5枚刃よりは劣り、BRAUNシリーズ9よりは劣るか同等くらい、フィリップス9000シリーズよりは剃れる、といった感じです。
肌への優しさはBRAUN・パナソニックより上、フィリップスよりは劣るといった印象です。もちろんヒゲの生え方は千差万別なので、誰にでも当てはまるわけではありません。以下に筆者(管理人)の個人的評価を書きますが1つの目安として参考にしてください。
他社モデルとの比較(管理人の個人的評価)
*筆者の個人的な感覚です。
ヒゲが濃く肌は弱い、だけどフィリップスの回転式だと性能不足、かといってBRAUNやパナソニックの往復式だと肌がヒリツイてしまうという人の選択肢としてロータリージーソードはおすすめできるモデル。
肌当たりが往復式よりも滑らかなので、今使っているシェーバーでヒリつきに不満のある人はロータリー方式に買い替えるのも1つの手だと思います。
筆者は往復式シェーバーで何度もストロークしているとどんどん肌が赤くなってしまいますが、ロータリージーソードは十数回往復してもヒリついてきませんでした。
ただ、裏を返せば1枚刃なのでワンストロークでとらえるヒゲの量はそこまで多くないとも言えます。早剃り性能に関してはラムダッシュの5枚刃のほうが上です。ロータリージーソードでは全体をしっかり剃るまで10分ほどかかりますが、ラムダッシュだと5分程度。とにかく早剃りを求める人にはあまりおすすめできません。T字カミソリで剃る程度の時間が確保できる人向けです。
じゃあT字カミソリで剃れば良いじゃん、と思われた方はその時点でカミソリがベスト。刃を直接当てるカミソリより深剃りできるシェーバーはこの世にありません。T字カミソリで赤くなる、ヒリついて通勤や通学が憂鬱、出血しやすいという人はT字カミソリから電気シェーバーに買い替えることで多くのメリットがあります。
また、ちょっと細かい点ですが内刃が横方向に駆動する駆動往復式シェーバーに比べると、一定方向に刃が回転するロータリー式のほうがヒゲの断面を触った時のなめらかさがあるのも特徴。往復式でスーッと引いて切るロータリー式ならではの肌触りで仕上がりが綺麗です。
ロータリージーソードはT字カミソリからの買い替えに最適なのではないか
本体は細身形状で、ペングリップ持ちをしながら逆剃りできるのがロータリージーソードの強み。T字カミソリ派だった人にも非常に馴染みやすい形状と刃の構造になっています。
刃は直線で捉えるイメージなので、カミソリのようにヒゲの向きによって持ち手や角度を替える必要があります。つまり今までT字カミソリを使っていた人にとって、剃り方は全く同じ。
ウェットシェービングも可能なので、それまで使っていたシェービングフォームやジェルも使うことができます。あとは、T字カミソリとおなじように順剃り・逆剃りを意識してシェーバーを動かすだけ。
パナソニックからも「カミソリシェーバー」は発売されていますが、刃の構造的に真にカミソリシェーバーなのはむしろロータリージーソードなのではないかと個人的には思います。
T字カミソリで肌をヒリヒリさせている人、使い捨ての替刃コストに悩んでいる人、そんな人は是非一度、3大巨頭のBRAUN・パナソニック・フィリップスだけでなく「日立のロータリーシェーバー」も選択肢の1つに入れてみてはいかがでしょうか。
その他の日立ロータリーシェーバーはこちらから!
毎年、各メーカーの最新モデルを複数購入しているシェーバーマニア。「深剃り向き」「敏感肌向き」「携帯向き」のおすすめのシェーバー、さらには「敢えておすすめしないモデル」まで解説します。最近のレビュー記事等はこちら。シェーバー選びの際は是非ご参考ください。