▼目次
電気シェーバーは剃ったヒゲを内部に溜め込む構造のため、どうしても定期的な手入れは必要になってきます。基本的なメンテナンス方法は以下のリンクをご参考ください。
普段は自動洗浄器の利用、自身でのメンテナンスをしっかり行っていれば充分ですが、つい放置してしまって臭いが取れなくなってきたり石鹸屑がこびり付いた場合は「重曹やクエン酸」を使用するのが効果的です。
▶重曹を使ってシェーバーの「臭い」や「皮脂汚れ」を落とす方法
このページでは電気シェーバー(刃の部分)をエタノールを用いて消毒・殺菌する方法をご紹介しています。(日常的に行うべきメンテナンス方法ではありません)
【注意事項】メーカーでは推奨していない方法です。当記事の内容は自己責任によりご利用をお願いします。
シェーバーを徹底的に殺菌・消毒するには?
そもそも、このエントリーを書こうと思ったきっかけは、当サイトにこんな質問メールが届いたからでした。
【質問内容】
家族がノロウィルスにかかり、洗面所周りをアルコール消毒しています。
使い捨ての歯ブラシなどは捨ててしまいましたが、電気シェーバーはアルコールで拭いても大丈夫でしょうか?
※勝手ながら要約させて頂きました。
口周りに使用する家電ですから衛生的な状態を保ちたいですよね。殆どのシェーバーは刃を水洗いができるため、殺菌を謳ったハンドソープで洗えるものの、それだけでは少し不安かもしれません。
本来、ノロウィルスには次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効とされています。
ですが、「ノロウイルスに係るエタノール使用ガイドライン(PDF) – アルコール協会」によれば、以下のようなケースではエタノールの使用が適切と指示されています。
金属製品の消毒には熱湯やエタノールの使用が適切
次亜塩素酸ナトリウムは、金属に対する腐食作用や皮膚等に対する刺激・損傷作用等があるため、その使用が困難な場合があるとともに、手洗いにおいて石けんと流水だけでは効果が不十分な場合も想定されます。
(中略)
2. ノロウイルスに対するエタノールの適切な使用方法
(1)消毒対象物に応じてエタノールの積極的な使用が望まれる場合①金属製品や脱色が問題となる繊維製品等の消毒には、熱湯(80℃ 10 分間以上の)やエタノールの使用が適切です。
金属製品・・・電気シェーバーやカミソリ、ハサミなどが当て嵌まりそうですね。次亜塩素酸ナトリウムを使用すると腐食し錆が発生したりしてしまいます。
熱湯に10分以上浸けるというのも、刃と組み合わさったプラスチックの変形が起こる可能性があるため現実的ではありません。
そんなわけで今回は、エタノールで殺菌・消毒まで行うメンテナンス方法をご紹介していきます。
準備物:「無水エタノール」、「キムワイプ」
使用するのは「無水エタノール」と「キムワイプ」と呼ばれる紙製のウエスです。あまり馴染みのない人もいるかもしれませんが、この2つの組み合わせは、精密機器の手入れがしやすいため非常に重宝します。
どちらも薬局、ネット通販で容易に入手可能です。
理学・工学系の方は誰もが知っているコンビかもしれませんね。研究室に所属すると最初に覚える単語が「キムワイプ」だなんて言われたりするそうです。
マニュキア落としなどにも活用できるため女性の方にも結構人気です。(肌に触れると荒れるため非推奨です・・・念の為)
無水エタノールを消毒用に希釈

左のボトルが70%に希釈したもの
まず、無水エタノール(100%のエタノール)にはほとんど殺菌・消毒力がありません。
えっ?じゃあなんで使うの?と思われたかもしれませんが、この無水エタノールに適量の水分を与えることで殺菌消毒の効果が引き出されます。
よく、病院で医師が注射前に肌を消毒用の脱脂綿で拭いたりするかと思いますが、それらは約70~80%に希釈したエタノールを含ませたものです。
【参考URL】:日本薬局方 消毒用エタノール(エタノール76.9~81.4vol%含有)
つまり、無水エタノールは水で70~80%に希釈することで、消毒効果が引き出されます。
(ですが、60~95%の範囲であればそこまで殺菌力に違いはないみたいですね・・・)
70%エタノールがもっとも強い殺菌・消毒力をもつと言われてきましたが, 現在では60~95%の濃度範囲であればその殺菌・消毒力にはほとんど差がないと言われています。
この時、薄めるのに使用するのは水道水で構いません。無菌室での作業などでは精製水などを使用する場合もありますが、あくまで家庭での消毒に使うだけですので水道水で充分かと思います。(気になる方は精製水をご利用下さい)
薄める割合は、目安として無水エタノール:水道水=7:3程度。
100円ショップなどでスプレー容器を買って準備しておくと、薄めたエタノールを保存でき、いつでもサッと使用できるので便利です。
【注意事項】エタノールは火気厳禁です。また、使用の際は換気を十分に行ってください。(もし、薄めるのは面倒!という方は「消毒用エタノール」と呼ばれるものを購入しましょう。こちらは始めから70~80%の濃度に調整されていますので薄めて使用する必要はありません)
キムワイプで外刃・内刃を拭く
キムワイプに希釈したエタノールを吹きかけて、外刃・内刃を消毒していきます。(電源は必ずOFFで行って下さい)
電気シェーバーはあらかじめ水洗いなどして、ある程度のヒゲくずや汚れは落とし、乾燥させておきましょう。
キムワイプを使用する理由としては毛羽立ちにくいという特性があるからです。通常のティッシュと違い繊維が長く、拭き取った後の毛羽残りもありません。
タオルだと繊維が引っかかったりするためNGです。ティッシュだと繊維がボロボロになりやすく残りやすいため、やはりキムワイプの使用がオススメです。
内刃部分を拭いても繊維が切れにくく、しっかりと汚れを落としてくれます。
キムワイプに浸透させたエタノールが指に付いて肌荒れする可能性もありますので、厚手のゴム手袋などをしてから行うと良いでしょう。内刃も鋭いため怪我の防止にもなります。
(筆者は無謀にも素手で行っていますが危ないです…。それと内刃は外したほうが拭きやすいです汗)
電気シェーバー本体はエタノールで拭いて良いの?
エタノールは金属への攻撃性はないため、刃を拭くには問題ないのですがシェーバー本体は別です。塗装にもよりますが、表面が変色したり色が剥げたりする可能性があります。
(と、建前上は書いたものの消毒のためには拭きたいですよね…。筆者のシェーバーはとくに色が剥がれたりしませんでしたが、塗膜やよっては融解やヒビ割れの可能性もあります。アルコール濃度を下げるか中性洗剤などで拭くのが無難かもしれません)
エタノールに浸け置きすればいいのでは?
前述した通り、アルコールはシェーバーの刃に使われているスレンレスには影響を及ぼさないため浸け置きしても問題は無いと思います。(実際、BRAUN社のシェーバー洗浄液はアルコールが94%含まれています)
ただし、シェーバーの種類によっては刃とプラスチック・ゴムパーツ等(エタノール耐性が様々)が組み合わさっているケースもあるため、今回は刃の拭き取りを推奨しています。
回転式シェーバーでの拭き取り作業
往復式シェーバーではなく、我が家にあるのは回転式シェーバー(上の画像)だ!なんて方もいるかと思います。回転式シェーバーは分解したほうが消毒作業がしやすいので、洗浄ついでにバラしてしまいましょう。
しっかり乾燥させた後にエタノールで拭いていきます。内刃は鋭いので手を切らないよう気をつけてくださいね。
指で汚れまで届かない場合はエタノールを染み込ませた綿棒を使用しましょう。
エタノール消毒は使いみち色々
ついでに鼻毛カッターやトリマー刃の消毒にも。
洗面所の汚れ落としやドアノブなどの殺菌、シール剥がしのベタベタ落としなど様々な使いみちがあるので、希釈済みのスプレーを作っておくと非常に便利です。
繰り返しになりますが、危険物に該当しますので取扱いに十分ご注意くださいね。
参考URL

毎年、各メーカーの最新モデルを複数購入しているシェーバーマニア。「深剃り向き」「敏感肌向き」「携帯向き」のおすすめのシェーバー、さらには「敢えておすすめしないモデル」まで解説します。最近のレビュー記事等はこちら。シェーバー選びの際は是非ご参考ください。