BRAUNシェーバーの新ラインナップ『シリーズ8』の性能を従来モデルと比較レビュー
2019/09/01
▼目次
2019年8月にBRAUNから発売したシリーズ8(8391cc)を早速購入してみたため、簡易的にレビューさせて頂きたいと思います。
ちなみに、BRAUNシェーバーの従来機種としては「シリーズ9、シリーズ7、シリーズ5、シリーズ3」が主力モデル、また「シリーズ1、モバイルシェーブM90」が持ち運びにも便利なモデルとしてラインナップされています。
今回、新たに発売されたシリーズ8の登場により、「BRAUNシリーズは数字一つ飛ばしの法則」は崩れ、シリーズ9、8、7、5、3、1…と間隔が揃わくなり、さらにはラインナップの複雑さが増したわけですが、果たしてシリーズ9と7の間を埋めることにどんな意図があったのか、という点についても見ていければと思います。
なにはともあれ、まずはパッケージの開封ですね。
BRAUN シリーズ8「8391cc」のパッケージ内容
今回、購入したモデル型番は「8391cc」というもの。8390cc(リンク先:楽天市場)という型番もルート違いで販売されていますが、8391ccは保護ケースがレザー仕様になっています。それ以外の中身は全くの同一です。
BRAUN シリーズ8「8391cc」の付属品は以下の通り。
・取扱説明書(裏面:保証書)
・全自動洗浄充電器
・ACアダプター
・洗浄液カートリッジ
・掃除用ブラシ
・保護ケース
持ち運びや保管に便利なジッパー式の専用保護ケース。レザーということもあり、一般的なファブリック製のケースより少し頑丈なつくりです。
充電アダプターは収納できないため、出張や旅行に持っていく際は前日にフル充電、もしくはアダプターを持っていくのを忘れないようにしましょう。
シリーズ8のハンドルデザインは最上位機種シリーズ9と同じ
まず、ブラウンシリーズ8を実際に握った第一印象は「持ちやすいけど、シリーズ9やシリーズ5とほぼ一緒だなぁ」の一言。シリーズ8と5のハンドルデザインはシリーズ9を踏襲しており、押し付けがましくないシンプルデザインはやはり多くの人にとって受け入れやすいのかもしれませんね。
実際に左からシリーズ9、シリーズ8、シリーズ5、シリーズ7を並べて撮影してみました。シリーズ5は電源ボタンの位置が若干上にあるものの、シリーズ9・8・5はほぼ同じデザインです。
「良いデザインは恒久的だ。」と、かのディーター・ラムス氏(Appleなど多くのプロダクトデザインに影響を与えた巨匠)も言っておられますし、シリーズ9で完成されたハンドルデザインはもはや変更する点がないのかもしれません。
実際、どのモデルも右手・左手のどちらでも握りやすく、また手首が疲れてくるようなこともないため、重量バランスが非常によく設計されているのだと思います。
シリーズ7はディスプレイ液晶が底面にあるなど、ハンドルデザインが異なりますね。今となっては少々古臭いデザインかもしれませんが、原型モデルであるプロソニック(2006年)から10年以上ほとんど変わっておらず、根強いファンが多い機種です。(私もシリーズ7のデザインはとても好みです)
シリーズ8のカットシステムを他シリーズと比較
BRAUNシリーズ8に搭載されるヘッドは往復式の3枚刃です。中央にくせヒゲトリマー、両端に網刃が2枚搭載される非常にスタンダートな配置。
くせヒゲトリマーはストレッチスキンガードと呼ばれるプレートで囲まれており、シェービング中の押し付けを防ぎつつ、適度に肌を伸ばす役割を持ちます。
BRAUNでは4カットシステム(または3+1ハイブリッドシステムヘッド)という名称で呼んでいますが、実際にカットするシステムは3つです。ちなみに上位モデルであるシリーズ9に搭載される5カットシステムは「4枚の刃+ストレッチスキンガード」という構成です。
BRAUNシェーバーで4カットシステム(往復式3枚刃)を採用しているのは、シリーズ8の他にシリーズ7、シリーズ5の2モデルが存在します。(シリーズ3は3枚刃ですがストレッチスキンガードが搭載されていません)
4カットシステムであるシリーズ8、シリーズ7、シリーズ5の刃はほぼ同一に見えます。つまり搭載刃だけで見ると、シリーズ8は他のシリーズに優位性があるわけでは無いと言えます。ちなみに、プラスティックフレーム部が噛み合わないため、それぞれに互換性はありません。
では、シェービング性能を向上させる付加機能を比べてみるとどうでしょうか。まず、ヒゲの濃さを自動で読み取り出力パワーを調節してくれる「人工知能テクノロジー」は、シリーズ3以外に標準搭載。
さらに、毎分1万回の振動が肌を震わせてヒゲを捕らえやすくする「音波振動テクノロジー」はシリーズ9、シリーズ8、シリーズ7に標準搭載されています。(シリーズ7のみ音波振動を手動調節することが可能です)
各モデルのシェービング機能を比較してみると下記表のようになります。
【BRAUNシリーズごとのカットシステムの違い】
シリーズ9 | シリーズ8 | シリーズ7 | シリーズ5 | シリーズ3 | |
刃の種類 | 5カットシステム(往復式4枚刃) | 4カットシステム(往復式3枚刃) | 往復式3枚刃 | ||
人工知能テクノロジー | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
音波テクノロジー | ○ | ○ | 手動調節可 | - | - |
32ビットMCU | ○ | ○ | 不明 | 不明 | 不明 |
こうして比較してみると、シリーズ8は実質的にシリーズ9の3枚刃バージョン、もしくはシリーズ5に音波振動を搭載したもの、と説明するのが一番分かりやすいことに気づきます・・・。これだけを見るとシリーズ9とシリーズ7の間を埋めることにそれほど大きな意味があるようには思えません。
32ビットMCU(マイクロコントローラユニット)の搭載
ただ、2019年モデルの新シリーズ9とシリーズ8はディスプレイ機能や内蔵技術の処理に32ビットMCU(マイクロコントローラユニット)を搭載していることを公表しています。マイコンのビット数を売りにする電気シェーバーはおそらくBRAUNが世界初ではないでしょうか。これは皮肉ではなく、少なからずシェーバー内部での信号処理がより高速に行わている(ボタン入力からディスプレイ表示、ヒゲ密度の感知など)ことを表しているのだと思います。
しかし、実際にシェービング性能にどの程度の影響があるのかは議論の余地があるかと思います。モーター制御がより高速に処理されたとして、そのおかげでカット性能がより飛躍的に向上するかと言えば殆どの人が首をかしげるでしょう。
ただし、バッテリーのパフォーマンスについては大きく向上しています。
バッテリー性能には向上がみられる
シリーズ8ではシェービング時間が対シリーズ5、シリーズ7に比べて20%アップし、60分になっています。これが32ビットMCUによるものか、それとも単に電池容量が大きくなっただけなのかは分かりかねますが、ようやくシリーズ8のハッキリとした優位性を述べることができました(笑)。
【BRAUNシリーズごとのバッテリーの違い】
シリーズ9 | シリーズ8 | シリーズ7 | シリーズ5 | シリーズ3 | |
搭載バッテリー | リチウムイオン電池 | ニッケル水素電池 | |||
充電時間 | 1時間 | 1時間 | 1時間 | 1時間 | 1時間 |
使用可能時間 | 60分 | 60分 | 50分 | 50分 | 45分 |
BRAUNシリーズ8と他シリーズを比較レビュー
前置きが長くなりましたが、ここからは実際にBRAUNシリーズ8と他シリーズを私が使用してみて感じた特徴や違いをレビューしていきたいと思います。
髭質や肌によって感じ方は人それぞれかと思いますが、購入の際はひとつの参考にして頂ければ幸いです。
参考までに、筆者(:髭剃り倶楽部.com管理人)の髭質はくせが多く硬め、肌はカミソリだとすぐ負けてしまう敏感肌です。
以下のレビューはすべてドライ剃り時のものです。シェービングの際には洗顔後にプレシェーブローションを使用しています。
シリーズ9とシリーズ8の比較
最上位モデルであるシリーズ9とシリーズ8を実際に剃り比べてみると、やはり肌に優しく深剃りできたのは4枚刃のシリーズ9。クセひげも中央のトリマー刃2枚が根本から起こしてくれるため、剃り残しが少なくストローク回数も減るためヒリツキにくい印象です。
5カットシステムのシリーズ9と、シリーズ8の刃を並べてみると刃の面積がだいぶ異なります。シリーズ8も十分肌に優しく剃ることができましたが、クセひげに対するアプローチはシリーズ9が一歩上手といったところ。ただし、くせヒゲや寝たヒゲが多くない人、髭が薄い人にとってはそこまで大きな違いは感じ取れないかもしれません。
シリーズ7とシリーズ8の比較
同じ往復式3枚刃であるシリーズ8とシリーズ7に関しては、ほぼ剃り心地は変わらない印象を受けました。シリーズ8はほぼ一定な音波振動を保ち、一方のシリーズ7は音波振動の強さを手動で切り替えできるため、その点に関しての優位性はシリーズ7にあると言えます。
手に馴染みやすいボディはシリーズ8。くびれのあるシェーバーボディはグリップ感も良く手首が疲れません。シリーズ7は若干重さを感じます。
大きな違いとしては、モミアゲや長いヒゲを処理するのに便利なキワソリ刃の配置。シリーズ8は背面、シリーズ7は前面にあり、慣れてしまえばどちらでも問題はないのですが、ヘッドとの距離が離れているシリーズ7のほうがより細かく処理しやすい印象です。
首振りヘッドを固定するロックスイッチはシリーズ8のほうがより自然な位置に。シリーズ7のロックスイッチはヘッドの側面にあり、ややアクセスしにくい気がしますが、これも慣れかと。
こうしたデザイン面での違いはあれど、シリーズ8がシリーズ7に大きく上回るような点は特に感じられませんでした。
シリーズ5とシリーズ8の比較
こちらも同じ往復式3枚刃のシリーズ8とシリーズ5ですが、だいぶ剃り心地が異なりました。まず、シリーズ8で顔半分を剃り終えた後にシリーズ5でもう半分を剃りましたが、シリーズ5で剃った側は若干のヒリツキと剃り残しが見られました。
使用感の違いとしては、シリーズ5はシェーバー本体の振動が強く手への疲労感が大きいです。
また、シリーズ5はヒゲの引っかかりも多少あったため、カット性能はシリーズ8に比べ劣る印象です。一方のシリーズ8は本体の振動が非常に少なく、それでいてヘッドはしっかりと振動するため、内部の振動した刃がヒゲをスパスパと切断し、肌が引っ張られるような不快感が一切ありませんでした。
シリーズ8のスムーズな剃り心地を体験してしまうと、シリーズ5には戻れないかもしれません。
シリーズ3とシリーズ8の比較
エントリーモデルであるシリーズ3と、ハイエンドモデルのシリーズ8を比較するのも酷ですが、やはり圧倒的な差を感じます。私のように髭が濃く寝たヒゲが多い人にとって、シリーズ3のパワーはあまりに弱く、シェービング中に何度もヒゲが引っ張られ肌が赤くなってしまいます。
シリーズ3に搭載される白いプラスティックパーツで囲まれたトリマー刃は、シリーズ8のそれと比べると肌当たりも悪く寝たヒゲのカット性能も劣る印象です。髭が薄い人にとっては十分なパフォーマンスを発揮できるかと思いますが、髭が濃く敏感肌な私にとってはモータートルクからして性能不足を感じてしまいます。
比較レビューの総評
モデル名 | 深剃りと肌への優しさの総評 |
BRAUN シリーズ9 | |
BRAUN シリーズ8 | |
BRAUN シリーズ7 | |
BRAUN シリーズ5 | |
BRAUN シリーズ3 |
※ の数はあくまで筆者の主観(ドライ剃り時)評価です。髭質や肌によって感じ方は個人差がありますのでご了承ください。
総評としてBRAUNシリーズ8は、個人的には3枚刃シェーバーとして非常に優秀なシェーバーだと感じました。シリーズ3やシリーズ5からの買い替えであれば、シェービング性能の向上は十分体験できるものだと思います。
ただ、シリーズ7との比較に関してはそこまで大きな違いはありませんでした。シリーズ8は決してシリーズ7のアップグレード版ではなく、シリーズ5のアップグレード版的な位置にあります。
価格的には、発売されたばかりのシリーズ8に比べシリーズ7は型落ちモデルが見つけやすく安く入手できます。より長いバッテリー駆動時間やシリーズ8のハンドルデザインに拘らないのであればシリーズ7のほうがコスパは良いです。(※記事執筆時点での価格比較)
【シリーズ7のおすすめモデル】
毎年、各メーカーの最新モデルを複数購入しているシェーバーマニア。「深剃り向き」「敏感肌向き」「携帯向き」のおすすめのシェーバー、さらには「敢えておすすめしないモデル」まで解説します。最近のレビュー記事等はこちら。シェーバー選びの際は是非ご参考ください。