電気シェーバーの騒音(dBの値)の違いを4メーカーの実機で比較検証

電気シェーバーはモーターの働きにより刃が高速で駆動する仕組み。そのため、往復式・回転式・ロータリー式と構造の違いはあれどどの電気シェーバーもある程度の騒音を発します。

日立は一部モデルの騒音値(dB)を公表していますが、他のメーカーでは騒音値は公表していません。そのため今回、BRAUN・PHILIPS・Panasonic・日立という電気シェバー4メーカーから各2台ずつ(上位・下位モデル等)を選び、それぞれの騒音値を測ってたいと思います。

測定方法は、バッテリーはフル充電、刃や内部のヒゲクズも貯まっていない状態でデジタル騒音計により測定します。

＊以前はAndroid端末用アプリ「騒音測定器 : Sound Meter」にて計測していましたが、より精度を上げるため今回から「サンコー小型デジタル騒音計RAMA11O08」によって計測しています。(旧記事:https://higesori-club.com/electric-shaver/db-soundmeter)

騒音値(dB)とは？

By: Simon Kellogg

音の大きさを表す単位としてはデシベルがよく使われています。例えばヘッドフォンで音楽を聴いている状態は一般的に75～105dBといわれています。身近な音の大きさは以下の通り。

身近な例
１００デシベル　・電車が通るときのガードの下
　９０デシベル　・犬の鳴き声（正面5m）・騒々しい工場の中・カラオケ（店内客席中央）
　８０デシベル　・地下鉄の車内・電車の車内・ピアノ（正面1m）
　７０デシベル　・ステレオ（正面1m、夜間）・騒々しい事務所の中・騒々しい街頭
　６０デシベル　・静かな乗用車・普通の会話
　５０デシベル　・静かな事務所・クーラー（屋外機、始動時）
　４０デシベル　・市内の深夜・図書館・静かな住宅の昼

【参考リンク】dbデシベルの話　音の大きさ

人が「うるさい」と感じるレベルは環境や聴力にも左右されますが、例えば深夜に洗面所で70dB程度の騒音を発する電気シェーバーを使用すれば、寝ている家族にはうるさく感じてしまうでしょう。

一方で、朝の慌ただしい時間帯に、隣で妻がドライヤー(100dB程度)を使っていれば電気シェーバーの音もそこまで気にはならないはず。

また、騒音源から離れるにつれ音のエネルギーは拡散され小さくなっていきます。さらに、遮断物(ドアなど)があればさらに下がります。電気シェーバーの場合、騒音を家族の鼓膜に小さく伝えるには洗面所などのドアを閉めて剃ることが最も簡単で効率的です。

前置きが長くなりましたが、それでは各メーカーのシェーバーの騒音値をみていきましょう。

電気シェーバーもメーカーごとに特徴があります。音源サンプルも録りましたので興味のある方は是非再生してみて下さい。

BRAUNシェーバー（往復式）2モデルの騒音値

BRAUNからは最上位モデル(2016年現在)であるシリーズ9、また普及価格帯モデルのシリーズ5を測定しました。

どちらも左右へ刃が駆動する往復式シェーバーです。

シリーズ5 5040s

【音源サンプル】

シリーズ9 9095cc

【音源サンプル】

【BRAUNの2モデル比較】

往復式といえばBRAUNというイメージも根強いため、多くの人が思い浮かべる「電気シェーバーの音」がBRAUNシェーバーではないでしょうか。

2016年現行機種ですと、シリーズ5に比べ上位モデルのシリーズ9のほうが若干騒音値が低い結果になりました。

ただし、シリーズ9にはヒゲの濃さを自動感知して音波振動の強弱を調整する機能(人工知能音波テクノロジー)が搭載されているため、実際に剃っている最中の音は一定ではありません。髭が濃い箇所を剃る場合はもう少し大きな騒音値になるかと思います。

シリーズ5はヒゲの濃さを感知するシステムは無いため、音も一定でした。

ちなみにBRAUNはサウンドデザイナーが音にチューニングを施していることでも知られています。

ブラウンの「プロソニック」も、音波振動のために搭載している高速モーターの音がそのまま聞こえると耳障りなので、耳に心地よい周波数帯になるようにチューニングを加えている。

2008年04月04日 日経トレンディネットより

モデルチェンジを繰り返し性能が向上した今でもトラディッショナルなシェーバー音を感じることができるのは、過去の良い部分は恒久的としながら上手く最先端技術を取り入れたBRAUNならではと言えるかもしれませんね。

個人的にもBRAUNシェーバーの音は好きです。

PHILIPSシェーバー（回転式）2モデルの騒音値

PHILIPSからは最上位モデルにあたる9000シリーズ、下位モデルのパワータッチを測定。

回転式シェーバーは駆動方向が一定なため、往復式とは全く異なる音を発します。

パワータッチ PT725A

【音源サンプル】

9000シリーズ S9522/26

【音源サンプル】

【PHILIPSの2モデル比較】

9000シリーズには刃の回転速度の3段階切り替え(パーソナルコンフォート設定)が搭載されており、回転数が変わるにつれ騒音値も変化します。最大まで上げたときの値は76db程度と大きめでした。

PHILIPSは現在ではほとんどのモデルが独立した3つの刃を採用しています。刃の回転が一定方向なため振動も少なく静かなイメージがありますが、実際の騒音値は70db程度。数値だけを見ると往復式とそこまで変わりません。

ただ、往復式が刃の激しい往復運動で音を発するのに比べ、回転式は常に一定方向に駆動し続けるため音もシャーーーッと常に一定です。

PHILIPSシェーバーはデシベル数値の割に耳障りが良いため静かに感じる人も多いのではないでしょうか。

Panasonicシェーバー（往復式）2モデルの騒音値

パナソニックからは、最上位モデルにあたるラムダッシュ5枚刃ES-LV9A-S、ラムダッシュ3枚刃ES-ST8Nの騒音値を測定しました。

どちらもリニアモーター搭載により刃の駆動速度が早く、スピードシェービングに定評があるモデルです。

ラムダッシュ3枚刃 ES-ST8N

【音源サンプル】

ラムダッシュ5枚刃 ES-LV9A-S

【音源サンプル】

【Panasonicの2モデル比較】

人気のあるラムダッシュシリーズはリニアモーター駆動により高めの特徴的な音。

ラムダッシュ3枚刃は他社シェーバーと較べても騒音値が低い結果となりました。ただ、ラムダッシュにはヒゲセンサーという髭の濃さに合わせてパワーを調節する機能があるため音は一定ではなく、実際の騒音値はもう少し上がる場合もあります。

3枚刃と5枚刃では毎分約1,000ストロークほどモーター回転速度の差があります。また、駆動する外刃の枚数も多いため、5枚刃のほうが音は大きくなりますね。

ちなみにラムダッシュシリーズもBRAUNシェーバーと同様に音のチューニングがなされています。実際に剃っていてチリチリッとしたカット音が感じられるのもラムダッシュの特徴ですね。

実は高級モデルは、音にもこだわっている。「ちゃんと剃る音がすることが満足度につながるので、『ラムダッシュ』はチューニングして満足度が高い音に調整していている。評判は良いですよ」と言うのは松下電器産業。

2008年04月04日 日経トレンディネットより

日立シェーバー（往復式・ロータリー式）2モデルの騒音値

日立では往復式・ロータリー式と、2つの異なる仕組みのシェーバーがラインナップ。

エスブレード RM-LF453は往復式4枚刃、ロータリージーソード RM-LX2Dは1枚刃のロータリー方式です。

エスブレード RM-LF453

【音源サンプル】

ロータリージーソード RM-LX2D

【音源サンプル】

【日立の2モデル比較】

日立のエスブレード4枚刃(往復式)は他メーカーの往復式に比べて若干数値も高め。一方でロータリージーソードは数値も低く耳障りも優しい印象です。一定方向への回転を続けるロータリー方式は、往復式のように左右で断続的に止まるポイントも無く、騒音を発しにくいのだと考えられます。

http://kadenfan.hitachi.co.jp/shaver/lineup/rm-lx6d/

ちなみに日立ではロータリージーソードの騒音値を公表しており、2016年モデルではさらに低騒音化がなされているそう。(今回使用モデルは2015年の型番です)

＊ちなみに画像にある日立が行ったRM-LX2Dの計測値と、私が計測したRM-LX2Dの数値は10db以上違いますね・・・。肌に当てながら計測するともう少し違った値が出るのかもしれません。

電気シェーバーの騒音を家族になるべく聞かれないためには？

電気シェーバーの騒音値はドライヤーよりも低く、そこまで神経質になる場面はないかと思います。ただ、子供が受験勉強で集中しているので邪魔したくない。家族と出勤時間がバラバラなので音を立てて起こしたくない。などなど、環境によってはシェーバーの音を立てたく無い場合もあるはず。

相手に伝わる騒音値を下げる最も効果的な方法は、遮蔽物を置くことです。音は空気中を伝わっていきますが、騒音源となっているシェーバーと相手との間に障害物があれば、ある程度の音は簡単に遮断されます。

ですので、洗面所や自室で電気シェーバーを使用する際に音を小さくしたいのであれば「ドアを閉める」ということが、最も簡単で効率的な方法だと言えます。ドアが無い場合でもアコーディオンカーテンをしめるだけでも十分な効果があります。

もしどちらも無いという方は、間仕切りカーテンのようなものを設置してみるのも良いかもしれませんね。いまは遮音性の高いカーテンも多く販売されています。

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